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 浦上幸彦(うらがみゆきひこ)の名前が出るようなら一大事だった。学内にたいへんな衝撃と緊張が走るだろう。背の高いほうがいった。 「噂(うわさ)では氾(はん)のスパイかなにかという話だったけど」  ジョージがぼそりという。 「ふーん、そうなんだ。その相手をタツオが倒した……」  背の低いほうが両手で拳銃をかまえる真似(まね)をした。 「片方のひざをつけた姿勢で一撃。銃弾は暗視スコープを抜けて、敵の右の眼窩(がんか)から入り、頭蓋骨(ずがいこつ)を貫通、即死。わたし、射撃の成績が悪いんだ。今度、逆島くん、教えてくれないかなあ」  2人組の後ろに高校一の美少女が、アルミのトレイをもって立っていた。 「そこ、どいてくれる? 晩ごはんの邪魔(じゃま)よ」  近衛(このえ)四家の威光と生来の美しさをもつサイコには、圧倒的な迫力があった。2人組は強風で霧が払われるように、一瞬で姿を消してしまった。
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