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新学期は編入生の紹介で始まった。
黒板の前に立つのは、身長が190センチ近くある大男だ。立派な頬(ほお)ひげをはやしていて、目つきが鋭い。身体(からだ)の厚みは肩幅と同じくらいだった。担任の月岡鬼斎(つきおかきさい)先生が紹介した。
「佐竹宗八(さたけそうはち)くんはみなさんより4歳年長だ。南洋諸島で3年間の実戦経験があり、数々の武勲を立てている。今回優秀な成績を評価され、進駐官上等兵からこの東島(とうとう)進駐官養成高校に特別編入された。仲よくやってもらいたい」
タツオは不思議だった。佐竹が奇妙に優しい目で、こちらを見つめたような気がしたからだ。月岡先生がいった。
「佐竹、きみの席は東園寺(とうえんじ)のとなりだ」
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