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わたしは自分で言うのもなんだが可愛い。
でもその可愛さは可憐、とは程遠い。可愛いのは可愛い。が、笑わないし、というか表情を変えない。
その冷たくも見える容姿は美しいと言うには幼い。だから、可愛い、という言葉が当てはまるのだ。
まあ、どうでもいいが。
基本、無表情、無感動。だって心を揺らすだけのモノがない。だって顔に表す理由がない。
友達もいない。必要ない。高校生にもなってあんな風にたむろってゴミだと思う。うざい。あ、無感情じゃなくなった。
もしかしたら短気なのか。べつにどうでもいいか。
1日ボーッと過ごして、もう放課後。帰宅部のわたしはさっさと帰ろうと鞄を持って足早に教室を出た。
渡り廊下で塊になっている人達を見かけた。別に避ける理由も無かったからその人達の輪を掻い潜って進む。
あくびを噛み殺す。ローファーに履き替えて、肩に鞄をかけた。
帰り道はぶらぶら歩きながら空を見上げる。そういえば、と気だるい思考を動かした。
さっき、あの輪に、あの輪の中心にいたのはわたしの彼氏、というやつだったんじゃないか?
たいして可愛くもない女を周りにはべらせて、馬鹿みたいに笑ってたな。
ああゆう風に生きたら楽しいんだろうな。ああなりたいとは思わないけど。
彼氏と言っても、年下だし、会うこともあんまりない。何故か接点もないのに告白されて。別に好きでもないし嫌いでもなかったから付き合い始めた。数えるほどしか出掛けたりしなかったが。
わたしも心など動かなかったが向こうもすぐに飽きたらしい。年下だったけど、彼氏はとても美しかった。所謂美少年というやつだ。
半年もすれば、外では会わなくなった。連絡も取り合わなくなったし、学校で会うだけ。
噂では彼女がいるのに女をとっかえひっかえらしい。ラブホテルに入っていったところを見た人もいるとかどうとか。
あ、彼女ってわたしだ。
で、学校で会うときはほぼ女が周りにいるから噂はあながち嘘じゃないんじゃなかろうか。
あれで逆にチェリーボーイなら笑える。まあ、初キスもまだなわたしに笑われるのはさぞ屈辱だろう。
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