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そうだ…病気。
忘れていたわけではない。
アンは持病の肺炎を患れている。
もしも、もしもだ。
あの二匹の猫のようにアンがいなくなったとしたら、俺はどうしたらいい?
もし旅に出たとしてアンはそれでいいのだろうか
「着いたよ、ここだよ」
アンの声を聞いたときには遅かった。
満面の群青色が広がる海が見えた。
「私一度ここに来て見たかったんだ」
と言うと長い赤い髪をなびかせながら水面を蹴った。
「…誰もいないな」
「私たちだけだね」
ここに来て正解だねとどこか寂しそうな顔をしながら答えた。
すると、アンは声を震わせながら言葉を発した。
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