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――雲一つない某日だった。もっとも、雨が降ることはめったにない。
大砂漠・ラングドシャー。雄大な砂漠を踏破した人間はいないとされている。
そのとある石の洞窟から物語は始まる。
石の洞窟が抱く魔法の水瓶・ロハス。
無限の水源であり、今日も人々は水を求めて洞窟を訪れる。
いつどこでどうやってできたのか、旅人達は誰も知らない。
ロハスが作り出す魔法の水は川を作り、魔法の流域は砂漠の真ん中に草原を作る。
リヴァと呼ばれるオアシスが作られ、やがて洞窟の周りには人間が住み着いた。
川に見放された場所だが、ロハスが人を呼び活発な商業拠点として栄えている。
洞窟には今日も旅人が何人も訪れ、泉から水をありがたそうに汲む。
瓶から湧き出る水の音が洞窟内の涼しさを演出している。
薄汚い服に身を包んだ少年が間をすり抜ける。
旅人の隣で水を手で掬い、喉を潤す。
「ここの水は美味いな。力が湧いて出るようだ」
旅人が少年に話しかけた。
「俺は毎日飲んでるよ! 一口飲めば一日中ずーっと元気!」
少年・ヨランは元気な笑顔で言った。
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