第1話 魔法の瓶と黄金のスカラベ

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――雲一つない某日だった。もっとも、雨が降ることはめったにない。 大砂漠・ラングドシャー。雄大な砂漠を踏破した人間はいないとされている。 そのとある石の洞窟から物語は始まる。 石の洞窟が抱く魔法の水瓶・ロハス。 無限の水源であり、今日も人々は水を求めて洞窟を訪れる。 いつどこでどうやってできたのか、旅人達は誰も知らない。 ロハスが作り出す魔法の水は川を作り、魔法の流域は砂漠の真ん中に草原を作る。 リヴァと呼ばれるオアシスが作られ、やがて洞窟の周りには人間が住み着いた。 川に見放された場所だが、ロハスが人を呼び活発な商業拠点として栄えている。 洞窟には今日も旅人が何人も訪れ、泉から水をありがたそうに汲む。 瓶から湧き出る水の音が洞窟内の涼しさを演出している。 薄汚い服に身を包んだ少年が間をすり抜ける。 旅人の隣で水を手で掬い、喉を潤す。 「ここの水は美味いな。力が湧いて出るようだ」 旅人が少年に話しかけた。 「俺は毎日飲んでるよ! 一口飲めば一日中ずーっと元気!」 少年・ヨランは元気な笑顔で言った。
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