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「なあ坊や、君はここの子かい」
旅人がその少年に尋ねる。
「そうだよ」
「君、この近くでうまい飯屋を知らないかい」
「十字広場の角にあるパン屋のパンは結構うまいかな」
「そうかい、ありがとう」
旅人は礼を言うと、洞窟の外へ出て行った。
少年の首からスカラベを模した黄金のペンダントがぶら下がっている。
屈んだ際にこぼれたペンダントを服の内側にしまうと、洞窟の外へ駆け足で出て行った。
すれ違いざまに屈強な男の集団が洞窟に足を踏み入れる。
ただの旅人ではない。血の香る短剣を腰にぶら下げ、目は水に興味を持っていない。
盗賊団だ。
「泉があると涼しいな」
先頭に立つ髪をきつく束ねた男が言った。
「これから暑くなりますね」
手下の男がそう返すと、男達は短剣を抜いた。
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