第1章

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当日、俺はドキドキワクワクしつつそこへ向かった。 受付のお姉さんに話しかけるだけでも何だか物凄く緊張した。 名前を確認されて、表のようなものに印をつけながら一瞬首を傾げられたが、特に大した事だった訳ではなかったらしく、会社に入る許可を取ることができた。 お姉さんに案内されて、エレベーターに乗り、ぐにゃぐにゃした通路を右へ左へと進むと、『βテストルーム』とドアの横の小さなプレートに書かれた部屋に辿り着いた。 中に入ると、良く分からない機械と共に、白衣を着たおじさんやおばさん、それと恐らく俺と同じように当選した四人がいた。 促されて1つ空いている席へ着くと、ここの社長と思しき人が前に出てきて説明を始めた。 「えー、今回のβテスターの皆様及び各国のエンジニアの皆様、本日はお集まり頂きましてありがとうございます」 そうか、周りにいる俺たち5人以外の人は見学しにきてたのか...。 世界初ということは、それほど貴重なことなのだろう。急にすごい緊張してきた...。 「これよりβテスターの皆様には、こちらの機械を掛けさせていただきます」 そう言って取り出されたのは、ゴーグルからコードが一本飛び出したような、見た目にはゲーム機に見えないようなものだった。 「こちらのコードをパソコンに繋ぎまして、我が社の開発したバーチャル専用のゲームで遊ぶことが出来ます」 なるほど、ゲーム機と言うよりどちらかというとゴーグル(仮)はコントローラーみたいなもんか。 「今後につきましてはネットワークを通してのオンラインゲームなどにも輪を広げていこう、と思考しておりますが...」 この後は社長さんの長い話が20分ほど続いたため割愛。 話を簡単にまとめると、このゴーグルでゲームをする時に手にしていたものや身につけたものは、ゲームの世界に持って行く事が出来るらしい。 もちろんゲームの中でそれが壊れたとしても、現実では壊れていない。 それから、ゲームの中で作れるアバターなどは存在せず、現実と全く同じ容姿としてプレイヤーになるらしい。 注意事項としては、ゲームと現実の時間経過は全く同じであるため、数日潜り込んだりしてしまえば、飢え死にする可能性もある、ということだ。 あとは細かい事しか言ってなかったし、習うより慣れろの精神でどうにかなるだろう。
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