第1章

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準備も整い、俺を含んだβテスター五人は、ゴーグルを掛けさせられた。 脳波や心拍数なども測るらしく、吸盤のようなものをあちこちにペタペタと貼られた。 ゲーム内に現実の物を持っていけるということを確認のために、私物を手にしたまま、俺たちはゲーム開始の合図を待った。 俺は普段荷物を最小限にするため、ほとんど何も持ってきていなかった。携帯とスイカの二つを、ズボンの後ろポケットに入れていた、というくらいだ。 「それでは、ゲームを開始します」 その言葉の後に3、2、1とカウントされ、次の瞬間、俺の現実での意識は途絶えた。 気がつくと、俺は綺麗な花園にいた。 「...失敗して死んでるとかじゃないよな?天国だったりしないよなココ...」 思わず不安を口にしながら、どんなゲームなのかもわからないし、とりあえず近くにあったベンチに座ることにした。 「...ひょわっ!?」 何の前触れもなく携帯がポケットの中で振動して、情けなくも飛び上がった。 メールがきたとわかって、ベンチに座り直しながら、本文を確認した。 送信先は...ゲームの会社からのようだ。 ゲームを始める前に、五人全員に非常時や連絡用にメールアドレスと携帯番号を交換させられていたのだ。 緊張しながら内容を読む。 『ゲームにエラーが発生しました。 ログアウトが内部から出来ません。 病院に搬送し、体調管理はこちらでさせていただきますので、無理にログアウトされませんよう、お気をつけください。 少々時間は頂きますが、身体に損傷が出る心配はございません。』 「早速かよ!!!!!!」 こんなにも早く危機が訪れようとは...! いやでもこれ、ゲームの内容によるだろ! 敵キャラに殺られたら... →もしかして:死 「嫌だぁぁぁあ!俺にはまだやり残したことが沢山あるんだぁぁぁああ!!!」 まだ俺は16なんだぞ!高校2年生!なのに彼女どころかキスもした事ないような童貞さんなんだぞ!!!泣けるわ畜生!!!!! 「うわぁぁ嫌だぁぁ二次元に飛び込む夢見たあの頃に戻りてぇぇぇ...」 飛び込んだら飛び込んだでこんなに厄介だとは思わなかった...。
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