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明智さんはお婆ちゃんに勉強を教えてもらっている。
いきなり、バレたらおしまい。
なんてことにならないように。
「炎狼さんは勉強しないのかい?」
「なんの」
「歴史」
一気に頭が冷えた。
「お庭に行っていていい?」
「どうぞ」
お婆ちゃんの勉強はまだ長くなりそうだったので…訂正、あのままあそこにいたらオーバーヒートだけでは済まないと思った。
『相変わらず、勉強は嫌いだな』
水孤がため息混じりの言葉を言う。
「勉強なんて必要ない」
『ある程度はしないとだな』
「生死の境目に立たされる時に勉強なんてする?」
『我はわからん』
「待つ側と試す側だもんね…」
『我は待つ側も試す側も飽きたから夏世に従ったのだが…』
癒されるはずの緑豊かな庭を見ているはずなのに心が癒されない。
『うむ?』
「どうしたの?」
『勉強が終わったらしいな』
「ふーん…」
私は庭の中心に立つ。
警戒心が強いはずの雀が何羽、左手の平に停まる。
小さいながらも生きているんだ、と思い微笑んだ。
「あ」
「?」
縁側に明智さんが居た。
バサバサ、と雀が飛びだつ。
‘綺麗’と口元が口ずさむ。
「え?」
「あ!え、と…お婆ちゃん、が暗くなる前に帰ったほうがいいって…」
「あ…そ、そうだね」
私は縁側へ歩く。
「おや、水孤と話をしていたのかい」
明智さんの一歩後ろにお婆ちゃんがいた。
「そんなに話してない」
「そうなのかい?」
『うむ』
明智さんは首を傾げた。
「明智さん、行「光秀」え?」
「あたしと二人っきりの時は光秀でお願い」
あたし以外の誰かがいたら‘桔梗’でいいから、と抱きしめられた。
「え、あ、え?」
お婆ちゃんはおや、おや、と微笑んでいる。
水孤はイチャつくのは別のところでお願いする、とため息混じりの言葉。
「炎狼さん、何かあったらお出で、桔梗さんと一緒にね」
お婆ちゃんの家からまた学校へ、学生寮へ歩く。
「勉強はどうだったの?」
「楽しかったわ」
「帰る時は覚えていないのに?」
「そこが損よね」
私の部屋は学生寮の最上階にある。
、とは言っても学生寮の屋上に建てられた部屋、と言っておこう。
ドアを開けて、小さい机に向かい合わせになるよう座る。
「どれが名なの?」
あー
「炎狼夜桜川 空乃(エンロウヨザクラガワ ソラノ)」
「空乃って呼ぶわ」
よろしくね、空乃、と。
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