第1章

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次に大天使はBの顔を見て微笑んだ。 「あなたの見た人間は少し幸せについて教えてあげなくてはいけませんね。 でも、幸せは与えるものでなく、人間が自ら感じなくてはならない物です。 満足な環境では自らの工夫の機会をなくしてしまいます。 この家族にはちょっとした不幸を与えて、日常がどれだけ幸せなのかを考えさせても良いかもしれませんね。」 Bは大天使の言葉で顔が青ざめた。 「お言葉ですが、不幸にするのですか?」 大天使はフフッと笑ってBに答えた。 「人間は風邪をひくと健康のありがたさを思い出す生き物です。 それと同じ事を施してあげるのです。 ちょっとした不幸は幸せを知るきっかけです。」 Bは心配そうな顔をしたまま、小さく頷いた。
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