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私には最近できた親友がいます。
名前はY子といいます。
Y子は器量が悪く、傲慢な性格で、誰からも嫌悪される醜い存在です。
そんなY子と、私がなぜ親友でいつづけるのか、目的はただ一つです。
A子を殺したことを自白させて、裁きを受けさせることです。
朝、いつもの場所で待っていると、A子の声が響いてきます。
「ごめん、待たせちゃったね」
私は憎悪を体の奥へ押しとどめて、A子に対するのと同じように、Y子に接しています。
「おはようY子。昨日のテレビ見た?」
「うんうん、面白かったよねー。あ、そうだ」
Y子は柔らかな笑みを浮かべて、美しい作り物の黒髪をなびかせました。
「ねえ、今日の帰りに駅前のケーキ屋さんに行かない? イベントやってるんだって」
A子が死んでから、Y子と私はたびたびA子の家に行っています。
これは、おじさんもおばさんも了承済みのことです。
あの日から、おじさんとおばさんは、Y子に会うことを自分たちから望むようになりました。
Y子の言動にA子の面影を見ることが、唯一の生きがいになってしまったのです。
「ね、そうしようよ。私の家でいっしょに食べよう」
Y子が言う私の家とは、A子の家のことです。
私は嫌悪感のあまりに目眩を覚えました。
例えおじさんとおばさんが許したって、私はY子を許しません。
Y子が罪を認めないのなら、私は考え付く限りの残酷な方法で、惨めで醜い死をY子に与えたいと考えているのです。
「誰かを恨んだって、憎んだって、なにも良い事なんてないよ」
それを見透かしたように、A子は優しく私に語りかけるのです。
「私は、親友のあなたが幸せに生きてくれることを、一番に願っているんだから」
この声は、本物のA子の声なのでしょうか。
それとも、私を惑わす模造の声なのでしょうか。
了
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