模造の声

3/6
前へ
/6ページ
次へ
E組でイジメの騒ぎが起こっているという話を耳にしたのは、それから一ヶ月後のことです。 私もA子も高校生活を楽しむことに夢中だったので、E組のY子という存在については、すっかり忘れていたところでした。 「仕方ないよ、あいつ、ほんとキモいから」 食堂で、たまたま相席になったE組の女の子が、A子を前にしてテンションが上がったのか、ペラペラとイジメの件について語り始めました。 「髪型だけじゃないんだよ。話し方とか香水とか、アクセサリーとか、もうストーカーってレベルでA子ちゃんの真似をしていてさ。実は、A子ちゃんを怖がらせたらいけないと思って、今までE組の中だけでY子を説得して止めさせようとしていたんだよ。そしたら、Y子が勝手に発狂して、カッターを振り回してさ。被害者は私たちの方だっての」 私とA子は言葉を失いました。 「学校は問題を大きくしたくないみたいだけど、マジで気をつけたほうがいいと思うよ。あいつ、絶対におかしいから」
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加