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「まったく、本当にあの人には敵わない」
そう言ってホームズさんはクシャッと頭をかいた。
「でも、オーナーって本当に素敵な方ですね。さっきのお話には感動しちゃいました」
ーー目利きの哲学。
「ええ、祖父は尊敬する師匠です。あの人のすべてを受け継ぐことができて、そしていつか超えることができたら……」
ホームズさんは独り言のようにそう漏らしたあと、
「では、行きましょうか。
改めて、皆さんに葵さんのことを紹介させてください」
と手を差し伸べてくれて、「はい」と、その手を受け取った。
そのまま、ゆっくりとホールに向かって歩く。
ホールの中央には、皆に囲まれたオーナーの姿があった。
国選鑑定人・家頭誠司は、やっぱりすごい人だ。
いつか、ホームズさんも受け継ぐのだろう、そのすべてと、
目利きの哲学を。
第二章『目利きの哲学』
TheEND
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