第二章 『目利きの哲学』

130/130
23056人が本棚に入れています
本棚に追加
/656ページ
「まったく、本当にあの人には敵わない」 そう言ってホームズさんはクシャッと頭をかいた。 「でも、オーナーって本当に素敵な方ですね。さっきのお話には感動しちゃいました」 ーー目利きの哲学。 「ええ、祖父は尊敬する師匠です。あの人のすべてを受け継ぐことができて、そしていつか超えることができたら……」 ホームズさんは独り言のようにそう漏らしたあと、 「では、行きましょうか。 改めて、皆さんに葵さんのことを紹介させてください」 と手を差し伸べてくれて、「はい」と、その手を受け取った。 そのまま、ゆっくりとホールに向かって歩く。 ホールの中央には、皆に囲まれたオーナーの姿があった。 国選鑑定人・家頭誠司は、やっぱりすごい人だ。 いつか、ホームズさんも受け継ぐのだろう、そのすべてと、 目利きの哲学を。 第二章『目利きの哲学』 TheEND
/656ページ

最初のコメントを投稿しよう!