第三章 『失われた龍』

3/127
23064人が本棚に入れています
本棚に追加
/656ページ
これまで、ずっと、端役ばかりだったけれど…… 「――こんないい話が来るなんて」 なんていっても全国ネットでの、主役の仕事だ。 ハーッと大きく息をついて、ソファーにドッカリと腰を下ろした。 視線の先には、掛け軸が飾られている。 北斎の富士絵。 父が俺に残してくれた掛け軸は、家庭内トラブルによって焼失してしまったけれど、同じものを見付けて購入したものだ。 確か、あの絵の名前は…… 「ええと、なんていったかな?」 携帯電話(スマホ)のメモ機能を取り出した。 『富士越龍図』 という文字に、そうだった、と頷いた。
/656ページ

最初のコメントを投稿しよう!