第1章

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おじさんは言った。 『いじめられました。死にました。それじゃつまんないよ』 おじさんは続けた。 『お前は面白いほど不細工な顔してるからそれ生かせ。いじめる奴笑わして腹ねじれさしてみろ』 コンビニに着いた。 『今夜のことは秘密にしてくれよ。おっかぁにも内緒な』 と言っておじさんは去った…。 ヒロシは帰宅し、母がとてつもなく心配し、警察沙汰になっていた。 だけどその日から、ヒロシの表情のかたまった部分がとけていた気がした。 それからというもの、ヒロシはとてつもなくおちゃらけた性格になり、クラスの同級生を笑わすのが楽しみになった。 ハメを外しすぎて先生に怒られたりもした。 それから中学、高校、と進学していき、卒業アルバムにはいつもヒロシのふざけた顔が乗っていた。 辛いときや苦しいときはいつも、あのおじさんの割り箸を鼻に突っ込んで腹踊りをする姿を浮かばせた。
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