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「制服はまだ良いとして、髪色、ピアス、この2つは校則違反で処罰の対象となるけど。」
「………別に良いじゃないっすか。」
面倒なことになったと言うようなその表情に葵にぃは手帳を開きパラパラとページを捲っていく。
「柏木 陽向、一年か。」
「………」
葵にぃが手帳を見ている間、陽向くんはポケットに両手を突っ込んで地面を見つめていた。
すると僕の視線に気づいたのか、それともたまたまなのか顔を上げて目線が合った。
「あすに、……柏木先輩」
陽向くんが葵にぃのことを無視して僕の方にスタスタ歩いてきて、それと同時に葵にぃの鋭い視線が僕を刺してきた。
「陽向くん、おはよう。」
「…っす。」
周りに人がいる時はこのキャラを通していくのか、なんだかちょっと余所余所しい。いつもだったらかわ格好良くて、人懐っこい笑顔を向けてくれるんだけど。
「柏木先輩、俺のこのピアスと赤い髪、似合ってないっすか?」
「えっ?…僕は陽向くんに似合ってて素敵だなぁって思う…け、ど……えっと」
陽向くんの後ろから僕に威圧感を与えてくる葵にぃ。葵にぃのパシリになったということは風紀の仕事をしなければいけないということだから……
「だってさ」
後ろに葵にぃがいたことを知っていたのか、陽向くんは振り返ってそう言った。
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