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「……おいバカ犬。ちゃんと仕事する気ある?」
ある程度生徒たちを迎えた後、僕たちも教室に向かうべく荷物を取りに行っていた。
呆れるようにため息をついて髪をかきあげる葵にぃ。僕は自分の不甲斐なさに反省していた。
「ごめんなさい…」
陽向くんは初犯だからと見過ごしてくれるほど甘くはない葵にぃは、反省文の提出と書庫の整理と掃除のペナルティを課した。
陽向くんは顔をひきつらせていたものの、素直にそれを了承して教室へと向かっていった。
「次会うのは放課後だよ。」
「わかった!」
「…それまでいい子にしてるように。」
葵にぃはあの時のことを思い出させるように首を指でいやらしくなぞってきて、体をピクリと揺らせば目を細めた。
あの噛み跡は色んな人に心配された。犬に噛まれたって言ったら狂犬病じゃないかって病院行かされそうになったけど、真実を名前を伏せて話したら姉さんに質問責めにされるわで…
「まだ残ってるね」
「うん…」
思ったより深かったらしく、跡はまだ消えていない。あと何日かしたら消えてくれると願っている。
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