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こんなんじゃ心臓がもたないよ…と押し黙っていると、東雲さんが艶っぽい視線を僕に向けてきた。
「ねぇ、飛鳥。」
「…はい」
「飛鳥は好きな人いるの?」
思いもよらない質問に目をパチクリ。
友達ってこういう話もするもんだよね。好きな人、かぁ…僕には程遠い話だな。
「いないです。」
影の薄い僕は男の子はもちろん、女の子にだって関わる機会は少ない。クラスの女の子に淡い恋心を抱いていた時期もあったけど、こうまで影が薄いと諦めもつく。いつからかそんなこと考えなくなっていた。
「そうなんだ」
ゆるりと微笑んだ東雲さんは何を考えているのかわからなかった。
「東雲さんはいるんですか?」
「ん?気になる?」
流し目で視線を寄越してくる東雲さんは、やっぱりモテるんだろうな…とぼんやり思っていた。
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