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あの時間を乗り切った僕は今、風紀室で葵にぃの仕事を手伝っている。大きい机を囲うように皆が作業をしている中、葵にぃの机だけは風紀委員長専用らしく部屋の奥に置かれている。
あと1カ月ほどで体育祭が行われるため、生徒会と体育祭委員、風紀委員会で会議をするらしい。そのための資料を作成しているらしいが、僕は何をしていいやらわからない。
「えっ、と…」
「飛鳥、お茶でも出しといて」
困っている僕に葵にぃは話しかけてくれて、僕はすぐに頷いた。葵にぃは意外にも眼鏡をかけていて、資料に目を通しながらシャープペンシルで何かを書き込んでいる。
風紀室には給湯室のようなものが設置されており、食器棚まである。生徒会室には入ったことがないけど、もっとすごいのかな、とやかんに水を入れた。
「委員長、確認お願いします。」
男子生徒が資料を手渡すと、葵にぃはそれを受け取って確認する。いつもと違う真剣な姿が新鮮で、食い入るように見つめていた。
「ここ、誤字。それ以外は良いんじゃない?直したらホチキスでまとめておいて。」
「はい。ありがとうございます!」
仕事をしている葵にぃの姿は素直に格好いいと思った。眼鏡をかけているせいもある。眼鏡かけると可愛い系より格好いい系になるんだな。
ちゃんと指摘するところは指摘して、褒めるのも欠かさないけど、調子乗るくらい褒めるわけでもなくて、指示も的確…上司にしたいタイプだ。
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