第4章

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ー ガラガラ 「遅い」 風紀室のドアが開き、部屋の中の人たちの視線がドアを開けた人物に向けられた。葵にぃはチラリと視線だけを向けてピシャリと言い放った。 「ごめんって」 葵にぃが小さくため息をついたのも無理はない。そこにいたのは東雲さんで、かれこれ20分は遅れて来ている。 東雲さんは空いている席に座ろうとしたが、僕を見つけるとカバンを置いて歩いてきた。 「さっきぶりだね、飛鳥」 「東雲さん」 名前を呼ぶと首をかしげる東雲さん。 「そうじゃないでしょ、飛鳥」 僕はシンクを背にしてるんだけど、そこに手をついてきて距離を詰めてくる東雲さん。 ちなみに葵にぃの机の横に僕たちはいるから、早く離れて欲しいのだけれど、僕の思いとは裏腹に東雲さんは顔を近づけてくる。 「さく、先輩…」 「うん、なに?」 ここには僕ら2人じゃないって知っているくせに、葵にぃとは違う意味でSなのかもしれない。
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