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ー チュンチュン
「朝…もう朝だ………」
昨日から一睡も出来ずに朝を迎えてしまった。
理由は言わずもがな朔先輩の告白のせいだ。僕は今まで告白なんてされたことはなかったし、一生されないと思って生きてきた。それなのに初めての告白が男だとは、なんてハードルが高いのだろうか。
付き合うということは一緒に登下校をしたり、手を繋いだり、き、キスとか…そういう事もってことなのかな…そうとなれば姉さんの餌食になってしまうのは逃れられないけど…まだ実感が湧かない。
「おべんとう…」
昨日のことを思い出すと、全身が燃えるみたいに熱くなってしまう。
あの女の子が現れて自分の友達が取られてしまったような、そんな気分だったのだけれど、あれが朔先輩の言うようにヤキモチというのならば…僕は朔先輩のことが好きなのだろうか。
「どうしたの、恋煩いかしら…」
どこから湧いて出てきたのか姉さんが珍しく早朝に起きている。その言葉と存在に驚きはしたが、寝ていないせいか体が心なしか元気がない。
「おはよう、姉さん…」
「ちゃんと寝たの?」
「ちょっと考え事してたら寝れなくて」
姉さんが僕のほっぺを包んで親指の腹で目の下のクマを撫でた。僕はゆっくりと目を瞑ってされるがままになっていると、視線を感じて振り返る。
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