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「やっぱりわかってないみたいだね」
「わっ…」
ネクタイを引っ張られ前のめりになると、葵にぃの顔がすぐ目の前にある。
うわぁ、可愛い。
「お前が僕に会いに来ないからだよ」
「へっ!?」
「なのにお前じゃない方来るし。」
また葵にぃの眉間にしわが寄る。
「僕が呼ぶ柏木飛鳥はお前だから。」
「……。」
「犬でもそれくらい覚えられるでしょ。」
葵にぃはそう言って僕のネクタイをパッと離して溜息をついた。
「葵にぃは僕に会いたかったの?」
「はぁ?」
「だって…会いにこないって…」
僕に会いたかったんだとしたら、嬉しいなあ。葵にぃが高校にいることは知ってたけど、すれ違っても気づかれなかったから。
「お前と会えなくて僕がさみしがるとでも思った?」
「おも…わない。」
そう答えるとふんっと鼻を鳴らして僕をキッと睨んだ。
「お前みたいな馬鹿な犬がいないと落ち着かないだけだ。」
そう言って椅子を回して後ろを向いてしまう葵にぃ。
うーん、じゃあ今は落ち着いてるってことかな?
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