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「もう予鈴鳴るけど平気?」
「え?」
「3年はここから近いから余裕だけど。」
口角をあげて、意地悪く笑う葵にぃは変わってない。
「じゃあ僕行くねっ!」
「ちょっと待って」
そう言われて振り返ると、背伸びした葵にぃの唇が僕のおでこに触れた。
「…、あ…えと……え?」
伏せられた瞳を開き、まるでイタズラが成功したみたいな顔して笑う葵にぃ。
気づいたらまた同じくらいの目線になっていた。
ーキーンコーンカーンコーン
いきなりのことで驚いていると予鈴がなってしまった。
おでこを押さえたまま動かない僕の横を通り抜けて、葵にぃは教室のドアを開いた。
「早くしてよ、犬。鍵が閉められない。」
何事もなかったかのように接してくる葵にぃの神経を疑う。
確かに小学生の頃とかはしてたけど!今は高校生だし……
葵にぃは余裕ぶってるから、僕だけ恥ずかしがっていることが恥ずかしくなる。
僕はそそくさと風紀室を出て教室へと向かった。
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