第1章

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「もう予鈴鳴るけど平気?」 「え?」 「3年はここから近いから余裕だけど。」 口角をあげて、意地悪く笑う葵にぃは変わってない。 「じゃあ僕行くねっ!」 「ちょっと待って」 そう言われて振り返ると、背伸びした葵にぃの唇が僕のおでこに触れた。 「…、あ…えと……え?」 伏せられた瞳を開き、まるでイタズラが成功したみたいな顔して笑う葵にぃ。 気づいたらまた同じくらいの目線になっていた。 ーキーンコーンカーンコーン いきなりのことで驚いていると予鈴がなってしまった。 おでこを押さえたまま動かない僕の横を通り抜けて、葵にぃは教室のドアを開いた。 「早くしてよ、犬。鍵が閉められない。」 何事もなかったかのように接してくる葵にぃの神経を疑う。 確かに小学生の頃とかはしてたけど!今は高校生だし…… 葵にぃは余裕ぶってるから、僕だけ恥ずかしがっていることが恥ずかしくなる。 僕はそそくさと風紀室を出て教室へと向かった。
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