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それから会話は殆ど無かったが、僕にとってとても有意義な時間だった。
絵はまだ完成していないから美術室の隅に置いて布をかけておいた。
ーガチャ
「ただいま…って姉さん!?」
家に帰ると姉さんが玄関で倒れていた。
隠していたわけじゃないけど僕には姉がいる。長い黒髪に陶器のような白い肌は病弱そうに見える。
実際そうなんだけど…
「姉さんどうしたの?」
「…あ、飛鳥ちゃん……」
瞳を開くとぼんやり宙を見ている姉さんはとても美人だ。でも僕と同じで存在感はない。
「今日は日光に当たりすぎたみたいね。」
「もう、心配させないでよ…」
姉さんは体が元々弱くて入退院を繰り返している。
「飛鳥ちゃんが早くお婿さんを連れてきてくれたらすぐに良くなるわ。」
姉さんは無表情でそう言った。
「だからそれ、お嫁さんの間違えでしょ。」
姉さんはあまり感情が表に出ないようだが、稀に薄い本をみて口元がニヤリと笑うことがある。
それを見た僕は今まで感じたことのない寒気がしたというちょっとしたトラウマだったりする。
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