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「え……?」
僕はそれが信じられなくて聞き返すように呟いた。それに対し、姉さんはいつもと変わらず無表情だ。
「困惑することはわかっている。2人には母さんが一人しかいないことも。」
「お父さんは…もうお母さんのこと好きじゃないの?」
そんなことはないってことわかっている。毎日仏壇の前で手を合わせている姿をよく知っているから。
「違う!…俺は、母さんを愛している。でももう1人幸せにしたいと思った人がいるんだ。」
「………。」
その必死な表情に何も言えなくなる。
「でも…2人の事を1番に考えたい。だから2人が嫌と言うなら結婚はしない。」
父さんはいつも僕たちのことを1番に考えてくれる。
でもそれなら父さんの幸せは?誰が幸せにしてあげられる?
「お父さん、その人を幸せにしてあげられる自信はある?」
「………もちろん。」
「お父さんはそれで幸せになる?」
姉さんの言葉に父さんは一瞬目を見開き、そのあとしっかりと頷いて微笑んだ。
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