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『明日、彼女とその息子さんたちを連れてくる。』
父さんの言葉を思い出しながら教室から窓の外に広がる青い空を見上げていた。
これから新しい生活が始まると思うと少しだけ楽しみだ。
お昼休みを告げるチャイムが鳴り、僕は鞄からお弁当箱を二つ取り出す。
大きいのが東雲さんの分で一回り小さいのが僕の分。喜んでくれるかな…
ドキドキしながらベンチへ向かうと、東雲さんはまだ来ていなかった。
僕の頭ガクッと項垂れ、思ったより楽しみにしていたようだ。
「朔ぅ~一緒にお弁当食べようよぉ~」
「だから用事があるって言ってるでしょ?」
「えーいつもそう言ってるじゃない。」
あれ…今の東雲さんの声だよね……
声のする方へ歩いてみると東雲さんの腕に自分の腕を絡める女の人がいた。
彼女かな……?
なんて思って覗いているとバチっと東雲さんと目が合ってしまった。
東雲さんがニヤリと笑ったから僕は目を逸らして顔を引っ込めた。
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