第3章

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「ふぅ…」 「後ろの人~、答案用紙集めてきてね~」 テストが終わり、1番後ろの席の人が答案用紙を集めに来る。僕のところは抜かされそうになったが、用紙を差し出すとギョッとして見て気づいてくれたから集めてくれた。 「な、どうだった?」 「ほ!?」 後ろを振り返って、ずいっと顔を近づけて来る飛鳥くん。ビックリして肩を震わせると、ハハッと爽やかに笑われる。 「飛鳥くんが教えてくれたおかげで、なんとか平均くらいはとれそうだよ。ありがとう。」 「いや、いいって!それなら良かったよ。」 こうやっていつも何かと話しかけてくれるから僕は教室で孤独を感じることもなくなった。 それでも飛鳥くんには他のお友だちもいるから、ずっと一緒に行動することはできない。 飛鳥くんは誘ってくれるけど、僕が他の人の視線に耐えられないし、飛鳥くんに気を遣わせちゃうから嫌なんだ。 「じゃあ今日はこれにてしゅーりょ~」 峰先生のゆる~い声かけによって生徒たちは帰りの支度をして帰っていく。 「飛鳥、帰ろう」 「あっ、うん!ごめんね、ちょっとまってて!」 問題用紙をファイルに挟んで鞄の中に入れて立ち上がった。
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