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見ちゃいけない気がして慌てて前を向けば、隣から追い越されてその背中を見つめた。
僕は東雲さんにとってどんな存在なのだろう。
お弁当を作ってくれる相手?後輩?知り合い?それとも…他人?
そう思ったら自分でも落ち込んでいくのがわかった。僕の中で東雲さんの存在が大っきくなってるんだなって実感する。
僕にとって東雲さんは…
「飛鳥?」
「あっ…」
「どした?ボーッとして。顔色悪いぞ。」
横から飛鳥くんが心配そうに覗いてきて、思わず足を止めた。
考え事をしていたからか、もう家の前についていて、飛鳥くんに申し訳ない気持ちになった。
「ごめんね、飛鳥くん…ちょっと考え事してて。」
「いーよ、そういうこともある。」
そう言って太陽のように笑って、眩しすぎる。でもその笑顔にいつも救われている。
僕も笑顔を返して、2人で家の中に入った。
「あれ…そういえば陽向くんは一緒に帰らないの?」
靴を脱ぎながら飛鳥くんに話しかけると、小さく頷いた。
「アイツはバイトしてるから。そのままバイト先行ってる。」
「バイト…かぁ。」
僕は家のことをいつもしていたからバイトをしたことはなかった。でもバイト仲間とか自分のお金で友達と遊ぶとか…ちょっと憧れていた。
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