第3章

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ーパタン 部屋に入ってカバンを置いてから、ベッド座ってゴロンと寝転んで天井を見上げた。 10分ほどボーッとしてから立ち上がって制服のボタンをポチポチと取っていく。 明日のお弁当はどうしよう。でも東雲さん、受け取ってくれるかな?僕なんか悪いことしちゃったかな? しばらくボーッとしていたら、いつのまにか手は止まっていてガチャと扉が開く音でハッとして振り返る。 「あ、悪い…着替え中だったか」 「大丈夫だよ。どうしたの?」 そこにいたのは飛鳥くんで、まだ制服のままだった。 僕は残りのボタンを外しシャツを脱いでゆるいトレーナーに手を伸ばしトレーナーを着る。少しボサボサになった髪を直してからベルトに手をかける。 ボタンを外しチャックをジジと下ろせば、少し大きめのズボンだからかストンと落ちる。 ハーフパンツを手にとって履き替え、トレーナーを捲って唇で挟んでから紐をキュッと結び、トレーナーを唇から離す。 「…飛鳥くん?」 何も答えが返ってこなくて、飛鳥くんの顔を見れば、視線に気づいたのか「悪い悪い…」と笑った。 「どうしたの?」 「…いや、あのさ…これ、なんだけど。」 そう言って飛鳥くんが背中に隠していた本を僕に差し出した。その表紙を見て僕は目を見開いた。 「…っ、姉さん…」 「だよな?俺の部屋に置いてあったんだけど……」 男子高校生が後ろから背の低い男子校高校生をハグしているのだが、片方の手がベルトに掛かっている。ハグされている方は顔を真っ赤にして文句を言っているような表紙。 これは、言わずもがな姉さんの趣味だ。
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