第3章

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「飛鳥にはまだ早い気がする。」 飛鳥くんが僕の後ろでボソリと呟いて、少しするとその手は離れていった。目をゆっくり開ければ、そこにはもう本はなくて、その代わりに鼻血を垂らす姉さんが瞳に映った。 「飛鳥くん、これでも一応僕も同い年だからね?」 「わかってるって」 振り返って飛鳥くんを見上げると、爽やかな笑みを見せてきて、怒れなくなる。 「飛鳥はそのまんまでいいよ」 そう言ってポンと頭に手を置かれて撫でられる。話を逸らされた気もするが、今の自分を肯定された気がして嬉しかった。 「ここは…天国なのかしら…」 壁に手をついて今にも倒れてしまいそうな姉さんに肩を貸してあげてベッドに運ぶ。姉さんはティッシュの箱を手にして、僕たちをじぃっと見つめた。 「…そんな期待した目で見られても、何もやらないですよ。」 「んもぅ…敬語なんか使わないで?家族なんだから。」 ぷくぅっと頬を膨らませてから、人当たりの良い綺麗な笑みを見せる姉さん。いつもこうだったらモテるのになぁ。
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