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「とにかく!これから姉さんの部屋からこういう本を持ち出すのは禁止だよ!」
腰に手を当てて言い放つと、見るからに姉さんの表情は曇っていった。普段無表情だから分かりづらいけど、これはきっと演技モードに入ってる。
「そんな…そんなことしたら姉さん、病気治らなくなっちゃう。」
「……僕はもう引っかからないよ。」
「…ゴホッ…ぁ、う…っ」
急に咳き込み始めて、胸を押さえだす姉さん。咄嗟に庇いそうになった手を引っ込めて、姉さんの様子を窺う。
「飛鳥ちゃん、ごめんなさいね…ゲホッ……私がこんなだから、迷惑かけて…」
「……姉さん」
「もう、しないわ……ぅうっ、」
苦しそうな表情をして自分の服を握りしめる姉さんを見ていられなくなって、そばに駆け寄って背中をさする。
「くるし…っぃ」
「姉さん!いいから!もう、どこ持ってってもいいから…あぁあ、飛鳥くん、救急車…!!」
「飛鳥…」
飛鳥くんの方を振り返って救急車を頼むと、飛鳥くんは姉さんの方を指差して苦笑いをしていた。まさかと思って振り返れば、したり顔をした姉さんが肩を揺らしていた。
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