第3章

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「痛かった?」 そんなこと聞かなくたって分かるはずなのに、噛み跡を優しく撫でて上目遣いで聞いてくるもんだから可愛くて敵わない。 葵にぃはきっとそれを分かっててやってるし、それで僕が何も言えないのも知ってる。 小さく首を振ると、よく出来ましたと言わんばかりに満面の笑みを見せた。 「葵にぃ、あの…」 「あまりアイツに関わらないほうがいい。」 2人のことについて聞こうとすると、それを遮るように葵にぃはピシャリと言い放った。それはこれ以上聞くなと言われているようで、僕は何も聞けなかった。 「…ああ、そうだ。パシリの件だけど、来週の月曜からにしようかな」 「え゛っ…」 まさかあれは本気で言っていたのかという本心ダダ漏れな僕の表情に、葵にぃの顔がサディスティックな笑みに変わる。 「わかったら返事」 「は、はひ…っ」 こうして僕と葵にぃは1週間の契約を(無理やり)結んだのであった。
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