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斉藤花と出会ったのは小学5年生のときだった。
だけど孤独だった僕が、どうして女の子と親しくなれたのか。
きっかけは、ある女のおかげだ。
いや、出会いのきっかけになったからと言って、そいつに感謝はしたことは無いし、今後もすることは無いだろう。
正直、不幸以外の何物でもなかった。
小学3年生の時、僕はその女に陥れられた。
名前は、ちょっと思い出せないが、そいつは金持ちで、品の良さそうな優等生だった。
だけど、僕は、その女がクラスのみんなの鉛筆やら消しゴムやら、キーホルダーなんかをこっそり盗んでいるのを知っていた。
偶然見たからだが、知りたくなかった。
知らなければ、僕はもっと幸せだったのかもしれない。
だけれど事実として、僕はそれを知ってしまったのだ。
そして、彼女を告発することが出来ず、逆にそれを悟られてしまった。
先手を打たれたといっても良いだろう。
その女は「遠野君が犯人です」と言って、罪のすべてを僕に擦り付けたのだ。
クラスメイトも、先生も、全員が彼女を信じて、僕は孤立した。
そして、噂を知った家族までもが僕を手癖の悪い子供と信じて、僕は自分の家でも居場所を失うことになったのだ。
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