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……かくして、当日。
僕は寝坊すること無く、新幹線の自由席に乗り、上星市中央大学へ向かった。
出費は少し痛かったが、別にどうでも良い。
僕は俳優になるとか言ってたにも関わらず、大学で経済学を学んでいる。
花ちゃんは夢を叶えようと努力しているのだ。
どうしてももう一度会いたい。
僕は胸に込み上げてきた強烈な切なさを抑えながら、高速で流れていく町並みを眺めた。
そして数時間後、僕は上星市に到着した。
インターネットで調べたとおりに道を進み、大学へもスムーズに進んだ。
自分が通っていない大学の門をくぐると言うのも、なかなか慣れない行動ではあったが、無事に第2視聴覚室へと着いた。
僕はそのドアを開ける。
だが、そこには、一人の女性が座っていただけで、中はがらんとしていた。
一人の女性。
「花ちゃん?」
僕は座っているその背中に、声をかけた。
「誰?」
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