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私には背中を向けていたのでわからないが、ふたりの顔から察するに、誠の顔は相当やばかっただろう…
「結愛大丈夫?」
「え、ああ、うん。なんともないよ、ありがとう」
「やっぱり、なんもすることなかったな」
誠の後ろから歩いてくる華徒。
そういえばいたな。誠危なすぎて忘れてた。
「そりゃそうでしょ、さっきも言ったじゃん。てか、初めに蹴飛ばした方カズだってさ。吹き出しそうになったよ」
「そうか?やっぱりお前ハードル低いんじゃないか?」
「そんなことないって」
こうやっていつもニコニコ笑っている誠だが、さっきの通り、強さは半端じゃない。
喧嘩をふっかけられても勝てる自信がある。そんな誠だからこそ、面倒という理由で喧嘩だって受けてしまう。
いつだって無傷な彼は、きっと私たちの知らないところでも殴り合いなんなりしているんだろう。
あれ?
ちょっと待てよ。
「ねえ、誠。外でも喧嘩してるよね?」
「え?あ、うん。成り行きでなっちゃうけど、それがどうかしたの?」
面倒臭がりなだけだろうが。成り行きとか言ってんじゃないよ。
「警察とかに補導とかされたことは?」
「ないよ」
即答!?
さんざん暴れ回れば警察ぐらい来るだろ…
「だって、呼ばれる前には僕その場にいないし、顔とか思い出されても困るから割と徹底的にやるし。あと名前も言わないしないしね。相手から聞きはするけど。」
「「通報するぞ!!?」」
その後、職員室にたどり着き、テニス部の練習場所を聞いた私たちは男子ふたりの身柄を引渡し、テニス部のコートへと直行。
そこそこの強さを誇るテニス部と聞いていたが、私の目にはそうは見えなかった。
そして現在帰宅途中。
「なにが学力部活動ともに強力よ。全然じゃないの」
「そうか?俺が見た限りでは、この辺じゃ練習も相当ハードなんじゃないか?」
「練習はね。というか、全然楽しそうにスポーツしてる感じには見えなかった」
「それは結愛の心がくもってげはぁぅ!!」
すかさず誠の横腹に拳を入れる。
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