入学

11/14
前へ
/231ページ
次へ
「そんだけ誠とか殴れるなら、絡まれた時にもやれば良かったんじゃないか?」 華徒の目はやれやれといったように語っている。 「いや、そうゆう問題じゃないからね?」 それは確かにその辺の女子からしたら私は強いけど、女子は女子なんだから怖いものは怖い。 ああやって絡まれれば、言いたいことも言えずに反撃すらできない。 「…い、いやいや、結愛なら大丈夫だよ。そのゴリラ並みのわんりょくわぃぃぁぅっ…!!」 「こいつ絶対死にたいんだよね」 「だろうな…」 二人で倒れた誠に冷ややかな視線を向ける中、誠のそばに駆け寄ってくる少女がいた。 「え、お、お兄ちゃん?」 「「お兄ちゃん!?」」 お兄ちゃんだと!?前々からやばいやつだとは思っていたが誘拐犯だったとは… 「誠、お前誘拐犯だったのか…」 華徒も同じ結論に至ったようだ。 「痛た…そんなわけないでしょ」 私が殴った場所をさすりながらのそりと起き上がり、少女の頭を撫でる。 「この子は僕の妹の『望南(もな)』。今年で中学一年だ」 「違うよ、今年で二年生だよ!」 「ん?そうだっけ?いやぁ、ごめんごめん」 妹の学年ぐらい覚えておいてあげなよ… というか、まさか誠に妹がいたなんて…小学校から一緒だったけど知らなかった。 「妹が居るのは知ってたが…まさかこんな可愛い子だったとは…」 「え、華徒、妹いること知ってたの?」 「あぁ、まぁ、一応な…ただ、こんな奴の妹がこんな容姿なのは信じられない…」 さっきの驚いた反応は『知らなかった』という意味かと思ったが、どうやら『なんで可愛いんだ』の方向だった様子。 つまりあれか… 誠『妹が欲しいなぁ…。あ、あんなところに可愛い女の子が!ねぇねぇ、僕の妹にならない?え、嫌だ?…しかたないな、なら…』 あ、やっぱり誘拐犯。 「ちょっと結愛、そんな怯えた顔して携帯触るのやめてくれるかな?冤罪で僕の未来が危ない気がする」
/231ページ

最初のコメントを投稿しよう!

11人が本棚に入れています
本棚に追加