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「そんだけ誠とか殴れるなら、絡まれた時にもやれば良かったんじゃないか?」
華徒の目はやれやれといったように語っている。
「いや、そうゆう問題じゃないからね?」
それは確かにその辺の女子からしたら私は強いけど、女子は女子なんだから怖いものは怖い。
ああやって絡まれれば、言いたいことも言えずに反撃すらできない。
「…い、いやいや、結愛なら大丈夫だよ。そのゴリラ並みのわんりょくわぃぃぁぅっ…!!」
「こいつ絶対死にたいんだよね」
「だろうな…」
二人で倒れた誠に冷ややかな視線を向ける中、誠のそばに駆け寄ってくる少女がいた。
「え、お、お兄ちゃん?」
「「お兄ちゃん!?」」
お兄ちゃんだと!?前々からやばいやつだとは思っていたが誘拐犯だったとは…
「誠、お前誘拐犯だったのか…」
華徒も同じ結論に至ったようだ。
「痛た…そんなわけないでしょ」
私が殴った場所をさすりながらのそりと起き上がり、少女の頭を撫でる。
「この子は僕の妹の『望南(もな)』。今年で中学一年だ」
「違うよ、今年で二年生だよ!」
「ん?そうだっけ?いやぁ、ごめんごめん」
妹の学年ぐらい覚えておいてあげなよ…
というか、まさか誠に妹がいたなんて…小学校から一緒だったけど知らなかった。
「妹が居るのは知ってたが…まさかこんな可愛い子だったとは…」
「え、華徒、妹いること知ってたの?」
「あぁ、まぁ、一応な…ただ、こんな奴の妹がこんな容姿なのは信じられない…」
さっきの驚いた反応は『知らなかった』という意味かと思ったが、どうやら『なんで可愛いんだ』の方向だった様子。
つまりあれか…
誠『妹が欲しいなぁ…。あ、あんなところに可愛い女の子が!ねぇねぇ、僕の妹にならない?え、嫌だ?…しかたないな、なら…』
あ、やっぱり誘拐犯。
「ちょっと結愛、そんな怯えた顔して携帯触るのやめてくれるかな?冤罪で僕の未来が危ない気がする」
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