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「実験が違うとしても、貴様が奴について何かを知っていることは確かだ。吐け。血を見たくはない」
「おやおや、物騒じゃないか。別に僕には戦う意思なんてないよ」
「一度、状況を分らせた方がよさそうだ…」
そう言って鎌を動かした瞬間だった。
急に視界が揺れる。
精神だけになっているため、触覚はない。あるのは視覚と聴覚のみ。
だからこそ、僕にはそう感じたが、実際はそうではなかった。
「横からの一撃…!大丈夫かい!?」
「ぐ…油断したか。大した怪我ではないが、少し驚かされたな…」
吹き飛ばされたレイスは、地面に鎌を突き刺すことによってテント外まで吹き飛ぶことこそなかったが、厄介なことに二人きりの状況ではなくなった。
レイスが見た方向には、先ほど団長さんと同行していた武装者。
「こらこら、ジルコン。テントを破ってまですることかい?」
「大事があってからでは遅いですからね…破損報告書は書いておきます。それより、こいつ…今のは盾で突進をしただけですが、切りますか?」
「いや、そこまではしなくてもいいけれど、やるなら暴れられないぐらいを目安にしてくれ」
「了解」
その一言の次には、ジルコンは動き出していた。
「来るよ!」
「分っている!」
鎌を引き抜き、構えた時には目の前には振りかざされる剣があった。
―――――
「はぁ!!」
掛け声とともに繰り出される袈裟切り。そこから繰り出される返し切り。鬼のように俺に切り込む姿は、もはや騎士とはかけ離れた何かでしかない。
だが、反撃のスキをまるで与えない速度なのもまた事実。
「どうした!避けてばかりか!」
「……」
「だんまりか。千本と言えば暗殺にもたけていると噂を聞いたが、どうだ!んん?」
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