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おしゃべりなやつだ。
俺はただただ、反撃のチャンスをうかがう。
そして、そのチャンスは割とすぐに来た。
このままでは当たらないと判断したのだろう。
ジルコンは後ろに飛びのいた。だが――
「待っていた…!!」
こちらもそれを追うように前に飛び出す。
鎌を地を裂ようにして引きずり、そのまま真横に振りぬく。
「反撃開始とでも言いたいのか?」
ジルコンも焦った顔一つせず、左手の盾でしっかりとガードをする。だが、本命はこちらではない。
「上方注意だ…」
俺はそう言い残し、盾を蹴ることによって後ろに飛びのく。
ジルコンが目にしたのは、上空から飛散してくる黒い刃。
「な、これほどの数を今の一瞬で!?」
その言葉を最後に、ジルコンの場所は砂煙で見えなくなった。
「俺が地面を引きずりながら切り上げたのは、地面に下級術、【シャドウスパイク】を張り巡らせるため。そのまま切りに行ったのは、そちらに気をひかせないようにするため…だが、この程度では終わるまい」
逆に、この程度で終わるような奴が団長を守る立場だというのなら、片腹痛い、というやつだ。そうなら、団長もたいしたことないだろうし、騎士団そのものを笑うほかない。
俺の予想通りだが、案の定、砂煙の中からは声がする。
「当たり前だ…だが、下級術にしてはなかなかの威力だった。こうも早く、俺に守護壁を使わせるとは…」
【守護壁】。確か光の呪文だっただはずだ。
光は対術の属性。一応物理にも対応できるが、真価は術にこそ発揮する。
守護壁は壁とは言っているが、実際は属性付与呪文。別に付与しなくても使えるという点はあるが、その場合は装甲能力がほぼなく、すぐに壊れてしまう。
逆に、盾などに付与して使った場合は、それなりの防御ができるという。さらに、魔放射を圧縮することによって強化しているため、ガード範囲も広がる。
つまるところ、防御力は元のものに大きく依存するということだ。
だが、術者相手なら有利だろうが、あいにく俺は近距離屋だ。
光属性を持っている以上、光とは逆の特性を持つ、近接耐性の高い闇属性を持っているという可能性は消え去った。
「まだまだ、これからだ。それとも…もうやめておくか?」
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