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「なるほど…少しは楽しめそうだ」
にやりと笑い、盾を前に出し構えをとる。
俺もそれに合わせて鎌を構える。
先に動いたのはジルコンだ。
盾を前方に構えたまま直進してくる。
距離ができるだけ近くなるように、ギリギリのところまでその場で待機。そして、盾でこちらを押す瞬間、横に踏み切る。
向こうも、そうなることを予想してたのだろう。移動したときには、剣がまっすぐにこちらに向かっていた。だが、こうなることも予測済み。
柄で横からはたき、軌道をそらす。さらに、そのまま振り切り、刃がついている方の柄で顔を狙う。
だが、やはりこれでは当たらない。
そこから続く、互いの攻防。どちらかが攻めればそれを守り、わずかなスキをついて攻撃。それを守りすかさず攻撃――というのが続く。
一度離れて術を撃つのは、光属性持というのがわかった時点であまり意味がないし、こちらが対接近の闇属性持なのだから、俺は近くで切りあう方が都合がいい。
だが、どのように近距離で属性攻撃を行っても、そのすべてを光属性で無力化されてしまう。この短時間でこちらの手の内は完全に読まれている。そう考えるしかなかった。
「なるほど、なかなか戦いなれているな」
「そちらこそ。千本と聞いて引きこもってばかりかと思っていたが、どうやらそうゆうわけでも…ないらしい!!」
最後の言葉に力を籠め、競り合いになっていた俺をはじいて距離をとるジルコン。
「…ふぅ…なかなか、勝負がつかないな」
「…だな…見逃してもらえるか?」
「悪いがそういうわけにもいかない。こちらも仕事だ。自分でやっていることなのだからやり通さねばならない」
「そうか…なら、この一撃で決めて見せる…!」
「望むところだ。俺もお前に敬意を表して、最大の一撃をお見舞いしてやる…!」
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