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では、互いの親同士知らないのに、なぜここに結愛がいるかだが、それは別の機会にでも話そう。
誘拐したわけじゃねえからな。
準備も終わり、玄関に行くと、そこには玄関に座りこみ、壁にもたれかかっている結愛の姿があった。
「先に行くんじゃなかったのか?」
「三分だけ待ってあげようと思ってね。行ってたほうがよかった?」
結愛はそう言うと、こちらを振り向いてクスリと笑う。
「いいや、ありがと」
「どういたしまして」
靴を履き、先に外に出るなり結愛が俺を呼び止める。
「なんだよ」
「いやぁ、なんでそんなに黒いのかなぁ…って」
その時の俺の格好は、黒の上着に黒のズボン。それに加えて黒の靴。全身真っ黒の中、唯一の別色は適当に引っ張り出してきた上着の隙間から見える赤のみだった。
「黒の素晴らしさがわからないのか?」
「華徒はセンスないね」
「朝から俺のセンスを侮辱するな」
じっとりと見つめる結愛の後ろの時計を見たとき、起きた瞬間の焦りを超える焦りが俺に襲いかかる。
「やばい、時間!」
家の鍵を結愛に任せ、俺は学校へと走り出す。
「あ、ちょ、ちょっと!」
「早くしないと遅刻するぞ?」
「あんたを待っててあげたんでしょうが!!」
結愛に追いかけられる(軽く怒らせた結果)という恋愛的シチュエーションにより、学校へは遅刻ギリギリに到着し、その時刻は8時43分を示していた。
ちなみに、教室にいなければならない時間は45分だ。
俺も結愛も息を切らし、校内へと入る入口の前に着くなり、そこに貼られている張り紙に気づく。
「これ…はぁ…クラス割り…か?」
「…みたいね……」
そこに書かれていたのは、6クラス分のクラス割表だった。
俺の名前を探すと、その名前はB組に分けられていた
「俺はBか。結愛は…」
「残念ながら、私もBよ」
残念ながらとは聞き捨てならない。…が今は時間がないのでスルー
「とりあえず上に上がりましょう」
「あ、ああ、そうだな。えっと何階だ……」
え、5階だと!!?
あんだけ走らせた上にまだ走れと!?しかも階段をか…
「鬼畜だ…」
「あんたが寝坊なんてしなければこんなことにはならなかったのよ」
そう言って走り出す結愛の後ろを追いかける。
とりあえず、俺はしばらくの間は寝坊の件でいじめられそうだ…
神よ…
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