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「まーこーとーーー!!!」
その正体は結愛の回し蹴り。吹き飛ばされた誠は、横腹を抑えて悶え苦しんでいる。
「いったぁぁ!ちょ、ちょっと結愛何するの!?」
「しらばっくれても無駄なんだからね?この間、華徒の家遊びに来た時に、お風呂のシャワーにいたずらしたでしょ…?」
「え、いやなんのことかさっぱゴボォァア!!」
結愛の右ストレートが、誠のみぞおちにクリティカルヒットする。
「お前なぁ……結愛先行っているぞ?」
「わかった。クラスの人数一人減りそうだって先生に言っといてもらえる?」
…………
「結愛、ほどほどにな…?」
「はいはーい」
ニッコリと微笑む彼女の笑みを見届け、俺は先に出た生徒たちのあとに続く。
教室からは何やら悲鳴が、聞こえるが気のせいだろう。
福水 誠(ふくみず まこと)。それが彼の名前だ。結愛を幼馴染として紹介したが、誠は結愛に出会う前からの友人というか、腐れ縁だ。
ただ、幼馴染としての解釈は間違ってはない。結愛との違いは互いの両親が友人ということ。そのため、俺との関係は深い。
性格の方はというと、さっきの通りいつでも明るくおちゃらけている。勉学と運動ともに優秀で、頭が切れる。中学ではよく上位の座を共にとりあったこともあった。
ただ、精神面にやや難があり、他人を馬鹿にしたような口調で話すため少々トラブルになりやすく、面倒くさがりのため、喧嘩をふっかけられるようなことがあれば即効でそれに乗る。そして変態型のド変態だ。
ただ、どれだけ面倒くさくても友人の件になるとやけに一生懸命になるというか…まぁ、相当な友達思いだ。理由は話したがらないから分からないが、きっと何かあったのだろう。
あ、でもさっきの結愛と誠のはいつものことだから、気にしないでくれ。誠が変態なのが悪い。
まとめてしまうと、お調子者で変態、喧嘩上等の面倒臭がり屋の加えてド変態。
『人間としてどうなんだ?』と思うかもしれないが、まぁ、悪い奴ではない。……多分。
あ、それと余談だが、あいつには妹がいるらしい。
ああならないように願うばかりだ。
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