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それは、結愛の得意分野は理数ともう一つ、『体育関係』があったから。
中学時の部活の助っ人も多かったし、その活躍っぷりは男子を遥かにしのいだ。
もともとテニス部に入部していた結愛は、大会では必ず賞を取り、「あいつと当たったら終わり」と言われるほどまでに他校からは嫌われ者だった。
もちろん、その有名っぷりは数多くの大人たちにも知れ渡っており、高校からの逆推薦は何校もあった。
だが、「知り合いのいない学校なんて、面白くないでしょ?だったら、華徒たちと一緒の学校に行って、ずっと馬鹿やってたほうが楽しいもん」と光位高校以外の学校を一瞬で全て蹴り、この学校へと入学した。
そのため、俺と誠は部活動は決めなくても構わないが、結愛は部活動の成績を認められて入学しているため、引き続きテニス部に強制入部させられている。
本人も気にはしていない様子だが、結愛は優しい。だからこそ、人に頼まれると断ることができない。助っ人を受け、多くのスポーツをしていればいつか身体にガタが出るだろう。女子なんだから、もっと体を大切にして欲しいというのが俺の本音なんだがな…
「…っと?……ちょっと華徒?聴いてるの?」
「え、ああ、悪い。聞いてなかった、もう一回言ってくれ」
ぼーっとしすぎたな。
というか、結愛のこと心配しすぎか?俺は心配症なんだろうか…
「まったくもう…私、テニス部に入らなきゃいけないじゃん?だからちょっと見に行きたいんだけど」
「あぁ、いいよ。行こう」
「誠もいい?」
「僕も全然いいよ」
「ありがと。じゃあ、行こう」
そう言って歩き出す結愛。ここで少し疑問に思ったことがあった。
「結愛、テニ部がどこで練習してんのか知ってんのか?」
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