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階段を下り始めた結愛は、立ち止まって後ろを振り向き「知ってるに決まってるでしょ?馬鹿にしてるの?」と言い放つ。
だが、その言葉とは対照的に結愛の顔は引きつっていた。
そして、誠もそれに気づいたようだ。
「へ~、じゃあ早く行こうよ。いやあ、テニ部の練習見るの楽しみだなぁー」
と、いかにも意地悪そうに笑いをこらえながら言い出す。
あぁ、二人とも馬鹿だな…
「あぁあ!いやでもその前にテニス部の先生に挨拶しとかなくちゃね!!私、職員室に行ってくるね!」
そう言い残して走り出す結愛。おそらく、挨拶ついでに場所でも聞きに行くのだろう。逃げ出した結愛を見て、誠は未だに笑いをこらえている。
「はぁぁぁ、結愛最高だね」
「そうか?お前の笑いのハードルが低すぎるだけだろ」
「華徒は相変わらず冷たいなぁ」
「通常運転だよ」
階段を下り、俺たちは職員室に向かう。
しかし、階段を下りて廊下を曲がったところには、何やら二人の男子と二人の女子がいた。そして、その四人は誰かを取り囲むようにしており、四人の見た目も、お世辞にも柄のいいものとは言えないものだった。
だが、そんなことはどうでもよかった。
中心にいる人物。それは…
「あれ、結愛じゃないか?」
「ほんとだ…てか、初日から先輩に絡まれるとか…ククク…さすが結愛だよほんと…」
ほんとこいつ最低だわ…
「まぁでも、ちょっと行ってくるよ。華徒はどうするの?」
「行くよ。まぁ、俺いてもあんまり意味ないけど」
「ははは、違いないね」
――――――――――
ああ、もう。私としたことが…
場所もわからずに行こうだなんて、馬鹿すぎるよ。
てか、誠いちいち腹立つなぁ…後で処刑しないと…
そんなことばかりを考えていた私は、あまりにも無用心すぎて、一回の廊下を曲がって少し進んだところで人の肩にぶつかってしまう。
「あ、ご、ごめんなさい」
「痛えな、どこ見てんだよ」
「すいません、次から気をつけますんで…」
私はこうゆうタイプは大の苦手だ…よくある感じで私の声はどんどんと小さくなってしまう。
「何この子。一年生?」
「じゃねえの?今日入学式だっけ?」
「あんた、そんなことも覚えてないの?よくこの学校は入れたね」
「うるせえよ」
え、この人たち馬鹿なの?
あ、でも今なら逃げられるかな…茶番やってる間にさよならしよう。
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