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しかし、そんな私の思惑は簡単に見破られてしまう。
「おい、どこ行こうとしてんだよ」
「入学したてのお子ちゃまには少し教育してやるよ」
「ああそれいいね!私たちも手伝ってあげる!」
そう言うと男女の四人組は、私の周りを取り囲み、後ろから女子ふたりが背中を押してくる。
「早く歩けよ」
「たのしいこといっぱいしようね?」
やばい。これは死んじゃう。
こうなったら…
そんな時だった。
「ねえねえ、先輩たち。女の子囲んでなにやってんの?」
後ろからの突然の声。全員が後ろを振り向く。
そこには華徒と誠の姿があった。
あ、嬉しいけどこれは…
「あ?なんだテメエ」
「あ、あの先輩方!!早く逃げてください!!」
私の唐突な警告。そのことにより、一瞬場が固まり、すぐさま下品な笑い声が響く。
「おいおい、なめんてんのかよ。下級生のくせに調子のんなよ!!」
その荒々しい声とともに、私に向かって拳が振り下ろされる。
あーあ…終わった……
この人が。
「グえぇっ!!!」
奇妙な鳴き声とともに、殴りかかった男子は吹き飛ぶ。
そして、男子のいた位置には誠が立っていた。
「おおーとんだとんだ!結構軽いね先輩。ちゃんと食べてるー?」
状況とは真反対に、誠は笑っていた。
「て、テメエよくもカズを!!!」
もうひとりの男子が誠へと襲いかかる。
あーあ、犠牲者二人目。
「うぐぁうっ!!」
少々エグめの声とともに、顔を蹴り上げられたもうひとりの男子は、軽く宙に舞う。
「よっこい、しょっと!」
その掛け声とともに繰り出された誠の廻し蹴りは、見事に横腹へとクリーンヒットし、男子はカズという男子の方へ吹っ飛ばされる。
「「ぐはぁあっっ!」」
その光景を見てた私の後ろの女子ふたりは「あ、あぁ、あの…」と、声にもならないような声を上げて震えていた。
「あれれ?まだいたの?…あぁ、もしかして先輩方、さっきの先輩の知り合いですか?」
「い、いや違うよ!」
「そ、そうよ。私たちもそいつらに脅されてて!」
「へー、そうですか」
誠はさりげなくふたりの前まで行くと、唐突に壁を殴りつける。
そしてその後に「構いませんけど、次近くにいたら蹴飛ばしてしまいそうですので…気をつけてくださいね?」と言う。
「し、失礼しました…」
ふたりの女子は恐ろしいものでも見たかのように、急いでその場を離れていった。
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