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ルイくんは、握った私の手を離すことなく、
ベンチからすっと立ち上がった。
距離が近くて・・。
一歩後ろに下がろうとしたのに、
ルイくんの片手が私の肩を支えるように添えられて、
離れられない・・。
「え・・。ナニ・・?」
近すぎて、見上げることも
目を合わせることもできなくて、
思わずうつむいた。
「『私、もう傷つかないから。ルイくん、好きにしていーよ。』
ってさぁ。襲っていいってことだよな・・?」
私が言った言葉・・?
「うそっ。私、酔ってて・・。本当にごめんなさい・・」
「俺じゃ傷つかねーのに、トオルじゃ傷つくんだ?」
ため息まじりに、言ったルイくんの言葉が、
私の心を揺さぶる。
我慢してた涙がまたジワリと溜まっていった。
「傷ついてなんて・・」
ない・・。
ただ、あんなヒトを好きだった自分が情けなかっただけ。
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