波紋(2)

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「はい。桜井です」 『・・美波・・?』 静かな空間の中、耳に残る低い声に ドクンっと鼓動が一回大きく跳ねた。 部長が呼ぶ私の名前の響きが、 すごく懐かしく感じる。 『桜井』じゃなくて、『美波』・・。 仕事じゃ、ないの・・? 「・・何か、トラブルでも・・?」 フッっと小さく笑う声が聞こえた。 『仕事じゃないよ。 ただ、今週、忙しくて連絡もできなかったし、声が聞きたくなってね・・』 「・・本当に珍しいですね。 3年も付き合ってて、 部長からプライベートで電話がかかってくることなんて・・ あったっけ・・。」 着信があったことに驚きはしたけど、声が聞きたいって言われても、それほどときめいていない自分に驚いた。 『そろそろ、 考えを変えてくれる頃かなと思って』 「・・・・」
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