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「はい。桜井です」
『・・美波・・?』
静かな空間の中、耳に残る低い声に
ドクンっと鼓動が一回大きく跳ねた。
部長が呼ぶ私の名前の響きが、
すごく懐かしく感じる。
『桜井』じゃなくて、『美波』・・。
仕事じゃ、ないの・・?
「・・何か、トラブルでも・・?」
フッっと小さく笑う声が聞こえた。
『仕事じゃないよ。
ただ、今週、忙しくて連絡もできなかったし、声が聞きたくなってね・・』
「・・本当に珍しいですね。
3年も付き合ってて、
部長からプライベートで電話がかかってくることなんて・・
あったっけ・・。」
着信があったことに驚きはしたけど、声が聞きたいって言われても、それほどときめいていない自分に驚いた。
『そろそろ、
考えを変えてくれる頃かなと思って』
「・・・・」
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