恋愛対象(中嶋 要side)

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ユキと住んでいたマンションを引越したのは、 残暑がまだ厳しい9月初め。 もともとユキの通勤に便利なように購入していた マンションは、ユキに渡した。 正直、住むところなんて、どうでもよかった。 だから、会社からそれほど離れてない場所ってだけで 選んだボロアパート。 まさか、近所に桜井が住んでるなんて、 思ってもいなかったけど・・。 「すごい偶然・・」 目を丸くして驚いてる桜井。 仕事では見せない、素の顔は入社した頃のままで、 ちょっと嬉しくなった。 同期会の日。 毎日横を通っている小綺麗なマンション。 そこが桜井の家だってことを 越してきて3ヶ月経って、初めて知った。 桜井は、いつのまにか 『高値の花』じゃなくて、 『ハガネの女』って噂されるほど、 男を寄せ付けない、 仕事女になっていた。 桜井の男の話を最後に聞いたのはいつだったっけ。 ここ数年は、顔を合わせても たいして話もせず、 俺にも、余裕がなかったし、 桜井から話しかけられることも あんまりなかったから、 桜井がどんなプライベートを過ごしてるかなんて、 全然知らなかった・・。
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