35歳の誕生日 ①(3)

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彼は、ハッっと息をのんで、 声にならないほどの微かな声で、呟いた。 「・・マジかよ・・」 私はもう一度、頷いていった。 「やっぱり知らなかったんだ」 鋭い目が、一度、私を睨んでから、視線を宙に飛ばす。 「・・だから、あの時・・」 ぽつりと口にしたあと、 腕を組んでまま、考え込んで 動かない。 「莉子から、あなたと『別れた』って聞いたから、 私は、てっきり あなたが莉子を捨てたんだと、思ってたんだけど・・」 違ったんだ。 彼に、何も話さず、 1人で産む道を莉子は選んだんだ・・。 「・・・・」 彼は、しばらく沈黙したあと、 顔をグッと歪めた。
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