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彼は、ハッっと息をのんで、
声にならないほどの微かな声で、呟いた。
「・・マジかよ・・」
私はもう一度、頷いていった。
「やっぱり知らなかったんだ」
鋭い目が、一度、私を睨んでから、視線を宙に飛ばす。
「・・だから、あの時・・」
ぽつりと口にしたあと、
腕を組んでまま、考え込んで
動かない。
「莉子から、あなたと『別れた』って聞いたから、
私は、てっきり
あなたが莉子を捨てたんだと、思ってたんだけど・・」
違ったんだ。
彼に、何も話さず、
1人で産む道を莉子は選んだんだ・・。
「・・・・」
彼は、しばらく沈黙したあと、
顔をグッと歪めた。
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