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私は再び、中嶋くんの腕をギュッと握ってから、頭を下げ、仕事の口調を崩さずに言った。
「用がないようなら、失礼します。
中嶋くん、行こ」
中嶋くんの腕を、さりげなく引っ張って、マンションのエントランスの中に入ろうとする。
「あ・・あぁ・・」
中嶋くんも、私のしようとすることを
察してくれたのか、部長にペコリと頭を下げた。
「・・・それじゃあ。お疲れ様です」
部長の顔をしっかりと見ることもできないまま、私たちがエントランスに足を踏み入れたとき、
中嶋くんはフッと足を止めて、振り返った。
「そういえば、友田部長」
私たちの腕は組まれたまま、中嶋くんは部長と体半分向き合って、
そのまま続けた。
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