35歳の誕生日 ②(1)

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「う、、うん」 まだ放心しているように見える部長に、再び軽く会釈をしたあと、 私たちは、腕を組んだまま マンションのエントランスに足を踏み入れた。 玄関の前までは始終無言だった。 「と・・とりあえず、上がって」 玄関の鍵をカチャリと外し、 ドアを開いて、 中嶋くんに入るように促す。 「・・・・」 何か言いたそうな目が、ジッと私を見つめた後、 「お邪魔します」 と小さな声を出して、 中嶋くんは、玄関に足を踏み入れ、靴を脱ぐ。 その後ろ姿が 何だか遠くに感じるくらい、私の意識はまだここにはなくて、 鼓動が落ち着かない・・。
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